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第30回日本霊長類学会大会
セッションID: A17

記事言語:

http://doi.org/10.14907/primate.30.0_39_1

口頭発表
主催: 日本霊長類学会
  • 抄録

野生テナガザルの子育てを継続的に観察した報告は少ない。2010年にボルネオ島ダナムバレー保護区に生息するミューラーテナガザルのあるグループに子が誕生した。そこで、子が5か月齢から2歳11か月齢までの間、半年おきに各7日間グループを追跡調査し1)10分毎の母子間距離を記録するとともに、2)移動する個体の順序や3)父と子の係わりについて観察した。その結果、子の年齢が高くなるにつれ母子間距離は増大し、母と子が一緒にいる割合は減少した。子は1歳5ヶ月齢から少しずつ母に抱かれないで自力で移動するようになり2歳11か月齢になると完全に母から自立して移動した。子が先頭または最後尾を移動した割合は低く、これは移動時に両親が子を防衛していたものと考えられる。また、父と子の係わりにおいては、子が2歳5ヶ月齢の時に父に抱かれて運搬されるのが4回観察された。これまで野生テナガザルの父による子の運搬はフクロテナガザル以外の種では観察例が少なく我々の観察が2例目になる。その状況を詳しく説明するとともにテナガザルの子育てについて考察する。

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