霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: B17
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口頭発表
東南アジアのテンプル・モンキー
*渡邊 邦夫
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抄録

東南アジアの国々では,俗にテンプル・モンキーと呼ばれる,寺院や公園などで人と非常に近い関係をもったサルの群れをよく見かける。タイ国ロブリ市とインドネシア国西ジャワ州パンガンダラン自然保護区のカニクイザルを中心に,その長期にわたる個体数変動を分析した。シンガポールとバリ島ウブドのモンキー・フォレストの事例も参照したが,いずれにも共通して見られる特徴があった。1970年代までは,どの地域においてもそう個体数が大きくはなかった。だがその後急速に増加し,さらに現在もまだ増加している。それはこれらの国々の急速な経済発展や都市化の進行と同調しているように思える。また,こうした実情は日本における野猿公苑の歴史や,近年の農作物被害増加に伴う野生ニホンザルの個体数増加とも軌を一にしている。これらの種の特徴とともに,将来の個体群管理の必要性を議論したい。

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