2002 年 49 巻 p. 1301-1305
三重県英虞湾における浚渫土を用いた干潟再生実験の追跡調査データから浚渫土の混合割合と底質, 底生生物の関係を整理した.浚渫土の混合割合が多い実験区では, 夏季に底泥の酸化還元電位が低下し底生生物種類数が減少したものの, 冬季では酸化還元電位が上昇し底生生物種類数は増加した. これは, 有機物含有量が多い底泥環境下で夏季に一次的に生物数が減少しても冬季に復活することを示唆している. また, 底泥中の有機物含有量と底生生物種類数の関係として, ある程度の有機物を含有している底泥で底生生物種類数が増加した. 以上より, 干潟再生に最適な底泥の有機物含有量が指標化され, 浚渫土の混合割合の設定が可能となった.