太平洋沿岸の潮位と表面水温のデータを用いて, 長周期潮の振幅や平均潮位の長期変動特性について検討した. その結果, 1年周期のSa潮の振幅は1980年以降, 全ての調査地点で減少している. この原因には海水温の年較差の減少が挙げられる. 経験的固有関数を用いた主成分分析により, 平均潮位の長期変動特性の抽出を行った. 関東以西の太平洋岸の平均海面変動は10-15年の長周期性が認められた. 九州-潮岬間の太平洋岸では1985年以降, 海水温の上昇の影響を受け, 平均海面の上昇が生じている. 北日本太平洋岸では長周期的な変動は認められないが, 1990年以降に海水温上昇に伴い, 顕著な平均海面上昇が始まっている.