2004 年 51 巻 p. 1076-1080
マングローブ植物の葉が分解されたと考えられる油状の水表面浮遊物の水質環境を明らかにするために, 沖縄県石垣島吹通川マングローブ氾濫原において現地調査を行った. その結果, 水表面浮遊物に含まれるSSは, 上げ潮時初期には水中での値よりも著しく大きくなり, 表層と水中の土砂環境は大きく異なることが示された. また, 水柱全体のSS輸送量に対して水表面浮遊物の寄与が有意であり, 特に上げ潮時において顕著であった. さらに, 水表面浮遊物中の栄養塩環境についても, SSと同様に, 表層と水中での値は著しく異なり, マングローブ水域における水質環境や物質輸送に対して水表面浮遊物の影響が極めて大きいことが示唆された.