浜名湖の湖口部に位置する感潮河川である浜名川において, 潮位変動および流れの観測を行った. 浜名川は河道がループ状になっており, さらに枝分かれして2カ所から浜名湖に注ぐ小河川である. 本論文は, このように複雑な形状の小河川内での潮汐波の伝播特性について, 現地観測および数値計算によって検討したものである. 浜名湖内の潮汐がほとんど減衰せずに河川に侵入していること, 河道内の流れは水位の微小な勾配とよく対応し, 一潮汐問に流れの向きが2回反転するなど複雑な流れになっていることを明らかにした. また観測期間中に発生した高潮に対応するために作動させた樋門と排水ポンプの河道内水位に及ぼす影響についても述べている.