抄録
宮城県大曲海岸において沿岸漂砂量分布図を用いて現在の侵食対策計画を評価した結果, 当海岸の沿岸漂砂量は, ヘッドランド群の設置により, 設置直前に比べて50-80%程度に低減されており, 侵食防止効果が現れていると評価できた.しかし, 沿岸漂砂上手側区間では, 現状でも沿岸漂砂量の不均衡が生じており, 今後も侵食の進行が予測された. そこで, 今後の侵食対策計画として沿岸漂砂上手側区間に養浜工を実施した場合の効果評価を行った結果, 養浜工実施地点より沿岸漂砂下手側においては砂浜の回復が可能であると予測され, 将来的には侵食を防止するための養浜量を少なくすることも可能であると予測された. このように沿岸漂砂量を推定することで, 海岸保全計画の将来的な見通しが立てられることがわかった.