閉鎖性湾の強い浦の内湾では, 40年前から湾央部を中心に海面養殖が行われており, 餌と共に各種の水産用抗生物質が使用されている. アンピシリンおよびオキシテトラサイクリンの分布と残留性, 拡散性, 蓄積性を明らかにする目的で, 湾内全域で海水と底泥を採取し濃度分布を調べた. 投与された抗生物質は, 海水中に溶出したりプランクトンに吸収されたりしながら海水の輸送に乗って移動し, 養殖域外の湾奥や湾外にまで広がっていることが分かった. 特に難分解性のAMPは残留性が強く, 底泥中にも大量に蓄積されていることから, 耐性菌の発生を促進する一方で有用微生物の増殖と環境浄化を抑制することが危惧される.