自己説明機能を備えた情報システムへ向けて　～情報システムの相互理解のためのゲームと物語の生成～

抄録

情報システムの開発時ならびに開発後の長期における運用において，利用者のもつ変化し続ける要求と開発されたシステムの間のズレが問題を引き起こすことがある．その問題を解決し継続的に改善していくには変化し続けるズレを認識し理解することが必要である．しかし，開発者と利用者の間での立場や観点の相違が，そうしたズレを理解し共有する妨げとなっている． 要求獲得においてはシナリオに基づく手法が活用されているが，既に開発され運用されているシステムと利用者の求めているものとのズレを感覚的に把握することは難しい．本発表では，情報システムのコンポーネントに自己説明機能を組み込み，利用者の理解を促進する物語やゲームを生成する，いわば逆シナリオアプローチを提唱し，それに向けたアーキテクチャの構想を述べる．