2003 年 10 巻 p. 111-118
昨今では土木構造物の建設・維持・補修・更新を含めて, その費用・便益を総合的に評価する方法論として, 土木構造物のインフラ資産評価・管理という概念が注目されるようになってきた. 成熟型社会における道路構造物の維持・補修・更新の最適化という課題に対処するためには, その資産の評価・管理という概念を導入することが必要になる. このような概念を導入する基礎として, 構造物の性能や機能水準を的確に把握するいわゆるモニタリング手法の開発が不可欠な要素となる. この効率的なモニタリング技術として様々な手法が挙げられるが, この中で本研究は, 精密写真測量手法を取り上げ, その構造物の維持点検手法への適用性について論じた. 具体的にその適用性を示すため, 供用中のトンネルにおいて, 実証実験を行い, 精密写真測量の土木構造物 (トンネル) への適用性を確認した結果についても述べる.