建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
PFIにおけるリスクとその分担方法についての基礎的考察
小路 泰広
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2003 年 10 巻 p. 207-213

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抄録

PFI (Private Finance Initiative) では、従来の事業方式と比べて事業に係る様々なリスクを民間に移転し、効率化へのインセンティブを確保することによりVFM (Value for Money) を高めようとする。今後導入が期待される「土木インフラPFI」では、自然的社会的条件が多様で投資規模も大きく事業期間も長いことなどから、適切なリスク分担も諸条件に応じて大きく変化する。インフラPFIでVFMを向上させるためには、多様な条件に的確に対応し、明確な根拠に基づくリスク評価・分担の方法論の確立が不可欠である。
またPFIでは、従来と比べて多種多様な分野の企業や専門家が参画し、契約に基づいて適切な役割とリスクの分担を実現していく必要があるが、専門分野や業種によつてリスクの考え方や分担方法についての認識が異なり混乱が生じる恐れもあることから、リスクとその分担方法についてそもそも論から積み上げて体系的な整理を行っておくことは有益であろう。
そこで本稿では、PFIにおけるリスクの概念を整理し、その分担のあり方を明確にするために、いくつかの論点を提示したうえで、望ましいリスクの定義を提示し、適切なリスクの分担とその実現方法について考察する。

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