2003 年 10 巻 p. 243-250
昨今、公共事業を実施するにあたっては、透明性や説明責任の確保が重要な課題となっている。また、高度成長期を通じて大量に建設された土木構造物を適切に維持管理し、さらに必要な社会資本整備を着実に進めていくためには、成果重視・顧客重視の行政運営の視点に立ち、より一層のアカウンタビリティの向上と、効果的な社会資本のマネジメントを推進していく必要がある。そしてそのためには、社会資本ストックの量や状態を的確に把握し、適切に評価することにより、これをマネジメントツールとして活用することが求められる。
本稿ではこれらの課題に応えるために社鎖本の管理に会計的視点を取り込んだ「インフラ会計」を構築することが必要であることを述べる。そして、「インフラ会計」の構築には、社会資本ストックの量や状態を適切に評価することが不可欠であるため、既往の社会資本ストックデータの課題を整理するとともに、事務所等で管理する台帳等をべースに、一部のインフラ施設についてストック評価額の推計を試み、今後の課題を明らかにした。