建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
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集団移転方法を採用した土地区画整理事業費の縮減を支援するPMシステムの開発
浅野 誠出口 近士吉武 哲信横田 漠佐多 孝徳
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2003 年 10 巻 p. 61-72

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抄録

密集市街地で施行される土地区画整理事業では地区内のほとんどの建築物が移転の対象になる。このような地区で仮換地の指定を行って順次、直接移転方法により移転を進めていけば事業期間が延伸し、間接費が増加するために事業費の増大を招くことになる。事業期間を大幅に短縮するために、仮住居を前提として一団の建築物を同時に撤去して工事を行い、整地が完了した後に再築を行うといった集団移転方法を用いる事例が多い。しかし、集団移転方法は曳家工法が適用できないので、この方法を多用すれば再築工法が増え、その結果、移転費が高額になるといった事業費と事業期間の競合問題がある.また、事業期間の短縮の長短に応じて一団の集団移転範囲の領域を決定するが、これらの関係を定量的に表現しすることが困難であった。
本稿は、筆者らが提案した施工計画立案システムに新たに集団移転方法の考え方を導入して大幅な事業期間の短縮を行い、事業期間の短縮に伴って変動する事業費と集団移転範囲の領域を求める。そして、期間と費用の間の競合問題を解決して事業費が最小となる施工工程を求め、その工程における集団移転範囲の領域を決定するPMシステムを開発するものである。次いで、このシステムを仮想プロジェクトに適用して、事業費、事業期間、集団移転範囲等の要素間の関連性や出力結果の妥当性を検討した。その上で、既成市街地内の住宅戸数密度の異なる2つの実プロジェクトに適用して、実用性を考察した。

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