2003 年 10 巻 p. 73-82
めまぐるしく情報が往来し変化のスピードが加速している現代社会において少子高齢化や環境問題等の新たな施策ニーズへの柔軟な対応を実現し、行政サービスの質と効率の向上を図るためには、国土交通省の職員自らが既存の知識を共有・活用し、新たな知識や価値を創造していくことが重要である。また、時間や空間による制約を乗り越えて組織横断的に必要な知識を効率的に共有・活用するためには情報技術の活用が効果的であり、その適切な活用のための技術を向上する必要がある。本研究では、このような問題意識に基づき、既存の知識の共有、交換とそれによる新たな価値の創造についてナレッジマネジメントの理論的な背景を理解するとともに、地方整備局国道事務所に対するヒアリング調査や民間企業における類似の取り組みに関する調査を通じて、国土交通省の事務所における知識の蓄積、共有、交換及び利活用を推進するための考え方を提案し、さらに具体的な実施方法に関する概念設計を行った。