建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
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鋼橋建設産業の発展過程に関する史的調査
五十畑 弘
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キーワード: 鋼橋, 建設産業, 歴史
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2004 年 11 巻 p. 331-342

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抄録

わが国の鋼橋建設は、20世紀後半の約40年間に、建設量の拡大と海峡横断道路等の長大橋建設に伴う規模の拡大が進んだ。鋼材消費量ベースで10万t台であった1960年代初頭の建設量は、20世紀末の10年間には、常に欧米の総計を上回る年間60-90万tに達し、この間、鋼橋建設産業は一連の大規模プロジェクトの完工をもって成熟の域に達した。
鋼材、高力ボルトなどの材料や溶接・加工、施工機械、工場などの安全管理、品質保証等の設備、コンピュータ技術など周辺技術の発達により鋼橋建設の品質、効率性、安全性は大幅に向上した。鋼橋の建設生産システムは、世界的な公共事業調達システム変革の潮流の影響を受け、1990年代以降になって入札契約方式、事業執行方式から変化を開始した。
本論文では、わが国および、欧米における20世紀後半の鋼橋建設の発展過程ついて明らかにし、相互の比較の視点をもってわが国の鋼橋建設産業の特質について論じた。鋼橋の構造、製作、架設等の技術および、鋼橋建設における契約のスコープや、建設業法上、および建設生産システムの運用上の商品区分、入札・契約、発注者と請負者の関係などについて調査し、わが国と欧米の相違を指摘しつつ、これらの要因による20世紀末の鋼橋建設産業に対する影響について述べた。

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