2005 年 12 巻 p. 89-100
既成市街地で行われる土地区画整理事業では、事業期間を短縮する目的で、建築物等を解体除去して仮換地が使用可能となった時点で再築する中断移転方法を採用することが多い。しかし、本法を採用すると移転先の仮換地が使用収益停止となるケースが多く生じ、結果として住民の多くが中・長期間の仮住居生活を強いられ、仮住居費も高くなりやすいという問題がある。
本稿は、ネットワーク工程表において後続工事を遅延させないことを制約条件として、自由余裕や全余裕をもつ移転物件の撤去工事の開始時期を遅らせることで事業全体の仮住居期間を短縮し、これを通じて仮住居費の削減を可能とする施工計画手法を提案している。そしてこの手法を3つの実事業へ適用した結果、当初の中断移転の総仮住居期間の5%-20%が削減できることを明らかにしている。