建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
緊急公共工事品質確保対策による極端な低価格入札の抑止効果と今後の入札契約制度に関する考察
常山 修治
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 14 巻 p. 277-288

詳細
抄録

公共工事における極端な低価格での契約は、国民の安全・安心に直結する公共工事の品質確保に支障が及ぶ懸念があるにもかかわらず、低価格入札の発生割合は高水準で推移している。そのため、国土交通省では平成18年12月、「緊急公共工事品質確保対策について」を地方整備局に対して通知し、入札契約段階での公共工事の品質確保対策を講じた。
本稿では、緊急対策の適用が開始された平成18年度第4四半期を含め、過去2力年の入札結果を整理・分析することにより、近年の入札動向を把握すると共に国土交通省が講じた緊急対策の低価格入札への影響について検証を試みる。その結果、中小規模の工事では低入札調査対象となる落札件数の大幅な減少が見られた。一方、大規模工事では、著しい低価格入札は激減したものの、調査基準価格を下回る価格での入札が多数発生しているだけでなく、応札価格が予定価格を中心とした分布から調査基準価格を中心とした分布に大きく変化していることが明らかとなる。こうした結果を踏まえ、引き続き入札実態の把握に努めていくとともに、現状の傾向が継続した場合の受注企業の利益確保に対応する新たな施策の提案など、今後の入札契約制度に関する考察を行う。

著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top