2008 年 15 巻 p. 33-40
本研究は社会基盤整備計画の柔軟性を評価する方法について, 高速道路の暫定2車線開業を例に検討したものである. 具体的には, まず既存資料から過去の高速道路の暫定2車線開業事例を抽出し, その後4車線化した時期と暫定供用期間, 交通量の推移等を把握した. それらを踏まえて仮想の高速道路整備事業を対象に, 当初から4車線で開業する場合と暫定2車線開業する場合の純現在価値 (NPV) の差について, 様々なシナリオを設定して算定した. さらにこの暫定2車線開業が有する柔軟性の価値について, リアルオプションアプローチを用いた評価を試みた. その結果, 暫定2車線開業は一定の価値を有することが確認された.