建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
建設CALSのニューパラダイムを求めて
池田 將明
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1997 年 5 巻 p. 15-24

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抄録

本論文は、建設分野にCALSの概念を取り入れた、いわゆる “建設CALS” に関する考察を取りまとめたものである。ここでの発想の原点は、CALSという新たな情報化戦略を取り入れることにより、建設生産システムのパラダイムシフトが起こる可能性があると考えたところにある。
そして、我々はどのような新たなパラダイムを望んでいるのか?それはどのようにすれば実現できるのか?克服すべき課題はどこにあるのか?といった、CALSを推進していく上での基本的な疑問に関して、CALSの発祥や発展過程、それに電子商取引 (EC) など他の情報化の考え方との比較により、概念的な考察を行った。
その結果、CALSの本質は、“限定されたグループ内における高度情報化戦略” であり、その “グループ内における生産と管理の究極的な効率化” を目的としていると捉えた。しかし、建設生産は多分に公共的な活動であるので、“効率の追求” だけではなく、国民の視点から見た “公平・公正” といった理念が必要となる。但し、“何が公正であり何が不正であるのか” といった国民的コンセンサス作りは容易ではないことから、代わりに “透明性 (オープン性)” という理念を持ってCALSを推進すべきであると考えた。
そして、以上の理念にたって考えた場合の建設CALSの在り方や今後克服しなければならない課題を (1) 技術的課題、(2) 情報の取り扱いに関する課題、(3) 生産形態に関する課題、それに、(4) 運用に関する課題に分けて取りまとめた。

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© 社団法人 土木学会
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