建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
「プロジエクト」に視座を置いた建設マネジメント学の構築に関する一考察
野城 智也
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 6 巻 p. 49-58

詳細
抄録

本研究は、建設マネジメント「学」を、「プロジェクト」という視座から体系化することによって学問として成立させえる可能性について考察を加えたものである。具体的には、国際規格ISO10006に示された10種類のプロセス (戦略決定、相互依存に係わるマネジメント、範囲、時間、コスト、経営資源、要員、コミュニケーション、リスク及び購買に関連したプロセス) が、現在の建設マネジメントの研究関心動向をどのくらい包括しえるのかを検討した。ここでは、建設マネジメントの研究関心動向は、「課題キーワード」として表現した。これは、土木学会、建築学会等の研究活動タイトル及び建設マネジメントにかかわる学術雑誌より抽出したものである。これらの「課題キーワード」と、ISO10006のプロセスの対応性を検討した結果、紛争に関するマネジメント、経営資源の制約条件に関する検討、発注契約の制約条件に関する検討, 委任契約や、請負契約にかかわるプロセスを付加すれば、「課題キーワード」の大半は、ISO10006の提示するプロジェクトプロセスと対応づけることができることがわかった。この分析をもとに、本論文は、プロジェクトに視座をおいた建設マネジメント学のアドレス体系の試案を作成した。この体系では、具体的な研究的関心が体系のなかでの位置づけ (アドレス) が得られる構造を持つことができるように、プロジェクトプロセスを主軸とするとともに、補完的アドレスとして、建設市場にかかわる経済環境・条件、建設産業及び建設企業、技法・テクニック、研究手法・方法にかかわるカテゴリーが用意されている。

著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top