建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
日本型CMに関する歴史的考察
野城 智也
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 7 巻 p. 129-140

詳細
抄録

日本では、1970年代においてCM方式が建築プロジェクトにおいて試行されたことがある。本論文は、1970年代の試行事例を基点に、1990年代におけるCMの多様な展開を通観したうえで、マネジメント機能の観点から「日本型CM」の特徴をマネジメント機能に着目して考察したものである。本論文では、1970年代の試行事例について分析を、どのような理由でCM方式が定着しなかったかを明らかにした。続けて、1990年代になって再びCM方式に対する関心が高まった理由について考察を加えた。これを踏まえ、「日本型CM」の典型として、二つの類型を仮説的に提示した。一つは、企画・設計段階においてVM・VEを通じて透明なサービスを提供しつつも、施工段階においては、日本のゼネコンがもつ設計及び施工の統合能力を活用するという類型である。もう一つは、逆に、企画・設計段階では、効率化がはかられるものの、施工段階では、ワークパッケージの細分化して分離発注し、コストの透明性を高めていくという類型である。これらは、日本の建設生産特有の因子を反映したものであり、マーケット・セグメンテーションのなかで、それぞれ存立意義を持ちえるプロジェクトの実施方式であると考えられる。

著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top