建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
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ライフサイクルコストを最小化する調達方式の選択に関する一考察
小路 泰広
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2000 年 8 巻 p. 217-226

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抄録

我が国では現在、公共事業における多様な入札・契約方式が検討され、導入が進められてきている。また、昨年の「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律 (PFI法)」の成立を受け、公共事業へのPFIの導入も始まっている。近い将来、新たな入札・契約方式やPFIを含めた様々な調達方式が成熟・普及し、事業の特性や地域条件に応じて最も適切な方式を選択できるようになることが期待される。そうなると、どういう条件の下でどの調達方式が有利になるのかを体系的に理解することが、公共事業を効果的・効率的に執行し、アカウンタビリティを確保する上でたいへん重要になる。
本研究では、公共事業を実施するにあたっての要素業務である設計、施工、維持管理の各業務をどのように組み合わせて民間企業に発注するのかという観点から調達方式の比較検討を行い、ライフサイクルコストを最小化させる調達方式を選ぶ際の選択基準についての一試案を提示する。調達方式としては、“設計施工維持管理分離方式 (通常方式)”、“設計施工一括・維持管理分離方式 (DB方式)”、“設計施工維持管理一括方式 (PFI方式)” を取り上げる。各業務の品質の決定に係る知識や、品質の検証可能性といった概念を導入したモデル分析を行いながら、事業ごとのさまざまな条件や発注者側の技術力等に応じたライフサイクルコストを分析し、コストを最小化する調達方式の選択についての考え方を整理する。

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