2000 年 8 巻 p. 83-92
本論文は、工事用情報データベースに蓄積された、コスト情報と工事条件を用い、請負増加率と原価増加率の関係について、定量的分析を試みたものである。分析では、169個の工事データを対象に予算作成時と完成時における金額を用いて、工事全体の請負増加率と原価増加率を計算し、請負増加率を説明変数に、原価増加率を目的変数にした回帰分析を行った。分析では、全工事データを、工事条件毎 (例えば、契約区分や入札区分) に分け、請負金額の増加に対する原価の増加の程度を調べた。その結果、従来の非定量的な経験則を数値化できるとともに、リスクマネジメント手法の開発のための基礎的分析としても意義のある結果が得られた。