2002 年 9 巻 p. 101-114
既成市街地の土地区画整理事業では移転物件が著しく多くなるため、工程数の多い玉突き移転が発生する。そのため事業進捗管理の困難性、事業期間の延伸や事業費の増大など、プロジェクトマネジメント上の課題が多い。移転計画と工事計画の具体的な順序関係や、仮換地の使用収益開始時期と移転開始時期を合理的に調整できれば、工事と移転の順序設定や移転方法を機械的に設定できたり、より経済的な工法・工程の選択が可能となる。
本論文では、CPM手法 (Critical Path Method)を援用して、クリティカルパス上の直接移転方法を中断移転方法へ変更して移転期間を短縮することにより、事業費が最少となる期間を算出するシステムを作成した。これを仮想プロジェクトへ適用して妥当性を確認した後に、実際のプロジェクトへ適用するとともにプロジェクトマネジメントへの有用性について考察した。