2001 年 26 巻 p. 893-896
鉄筋コンクリート地中構造物の耐震性能を評価する上で, 鉄筋降伏の確認は重要な項目である. ところが, 著者らが行った既設地中構造物の載荷実験では, 試験体への損傷の懸念から鉄筋ひずみの計測が困難であり, 鉄筋降伏が確認されていない. そこで, 既設構造物の鉄筋降伏を推定するために・非線形特性を考慮したFEM解析および骨組み解析による載荷実験のシミュレーションを行う. シミュレーション結果によると, これらの解析は既設構造物の挙動を良好に再現する. 特に, 非線形FEM解析は構造物の挙動を詳細に再現できるため, 実験結果を補う上でも有用である. また, 非線形骨組み解析はこれからの性能照査型設計に対する実用上の有力な手段のひとつになると考えられる.