気候変動の緩和のために, 地方自治体が低炭素社会を実現するための長期シナリオが必要とされ策定され始めている. しかし地方自治体の社会・経済構造は国と比べて開放的であり, より大きな不確実性・不安定性を伴う. 本研究では地域経済の開放性を考慮した低炭素社会シナリオの構築手法を開発した. またその中で将来像を定量的に描写, 温室効果ガス排出量・削減量を評価する定量推計ツールを開発した. この手法を2030年の京都市へ適用し, 1.3%/年程度の経済成長のもとで化石燃料起源の二酸化炭素排出量を1990年比50%削減するための対策を同定した. 削減量の中では家庭部門と業務部門のエネルギー効率改善が大きな割合を占める (それぞれ約15%, 18%) ことが示された. 感度分析を行い, 移輸出額の想定の±0%の増減が二酸化炭素排出量に±8.5%の影響を与えることを示した.