わが国のCO2排出量において, 波及効果も含めた場合, 建築分野が全産業の3分の1を占めている. 森林の炭素吸収効果, 木質系建設資材が有する炭素固定効果, さらには施策の地域展開による環境改善ポテンシャルを評価するために, 本研究では, 第一に, 木造住宅を対象とした環境負荷削減施策を, CO2吸収による炭素固定効果・燃料代替効果を含めて評価するシステムを構築する. 第二に, 住宅の温熱環境の改善やエネルギー回収による環境負荷削減効果について, 実証実験施設を対象としたライフサイクル評価のケーススタディを行う. 第三に, 環境負荷削減施策を地域全体に展開した場合の環境改善ポテンシャルを評価する. その結果, 2010年度における木造住宅の解体延床面積に相当する建築物に, 各施策を導入したと仮定した場合, 年間190kt-CO2の削減ポテンシャルがあることが分かった.