2008 年 36 巻 p. 125-130
本論文では, 全国の水道事業体を対象に実施した送配水管路に係る漏水事故の実態調査アンケートデータを基礎に, 管種別の故障率曲線に関する推定方法を検討した.具体的には, 事故データのみを用いて作成される不信頼度関数 (累積故障分布関数) に関して, その事故データの元になる母集団, すなわち埋設管路 (事故を起こしていない無事故管路) を考慮するための改善を試みた.既存の統計資料から埋設管路延長に関する情報を収集・整理し, 無事故データを加味した場合の補整済み不信頼度関数から故障率曲線を作成する手順を示した.実際に提案した方法から故障率曲線を作成した結果, 故障率が年月の経過に伴って増加して行く様子を記述することができた.