事業所レベルでの環境配慮型経営や資源循環の取組みの実態や管理・評価の体制, さらには事業者間の循環連携の障害を明らかにすることを目的に, 国内有数の産業集積都市である川崎市に立地する大規模事業所9社を対象としたヒアリング調査を実施した.環境配慮型経営は, 全体としては, 外部との連携が必要な取組みであるグリーン調達や消費者協力, エコデザイン, 資本の投資回収に係る取組みが広く普及し, かつ自社内で実施可能な内部環境マネジメントに係る取組に比べて低調な傾向を示すことがわかった.ただしより詳細には, 業種・業態や生産する最終製品の違いがこれら取組みの差異に影響を与えている.資源循環への取組みの促進要因と阻害要因は表裏一体の関係にあり, 付随コストや採算性, 廃棄物 (資源) の受入れ主体の存在が, 取組み着手を分かつ鍵となることが把握された.資源循環における受け手や, 資源循環に伴う事業性や経済性の確保を支援することで, グリーン調達や投資回収の取組みの促進に繋がることが期待できる.