大きな課題となっている交通分野でのCO2削減に対し, 都市コンパクト化 (高密化) によって自動車利用抑制を進めることの期待が高まっている. しかし, その一方で都市居住者の自動車CO2排出量がそもそもどの程度の水準で推移してきているかというごく基本的な情報さえ整備されていない. そこで本研究では, わが国の地方都市から大都市までを包括した全国都市パーソントリップ調査データを用い, 最新の都市別自動車CO2排出量を求めるとともに, その数値が昭和62年以降どのように変化したかを提示した. 分析の結果, 地方部の都市ではこの間に飛躍的に一人あたり自動車CO2排出量が増加していることを明らかにするとともに, その原因は移動距離よりもむしろ分担率の増加によることを明らかにした.