2008 年 36 巻 p. 245-254
本研究の目的は, 2030年にエタノール導入の動きが各国で進んだ場合に, 食料との競合が起きない形でエタノールが十分供給できるかどうかについて検証することである. さらにエコロジカルフットプリント (EF) が最小となるような農業作物取引のあり方は, どのような構造であるかを明らかにする. 分析結果から, 2030年の世界の食用・飼料用トウモロコシとサトウキビの供給量を満たした後も, 1.6億トンのトウモロコシと5.2億トンのサトウキビが供給可能であり, この余剰分をすべてバイオエタノールに転換した場合に, 1, 096.3億リットルのバイオエタノールが供給可能であることが明らかとなった.