2008 年 36 巻 p. 255-263
近年, 気候変動緩和策やエネルギー自給率向上策として食料資源由来のバイオエタノール利用が進められているが, 途上国における食料需要の増加と相まって, 食料とバイオ燃料の競合問題が顕在化しつつある. 本研究では, 社会経済発展やバイオエタノール需要増等の影響を考慮した上で, 将来の地球規模の食料需給構造および作物増産に必要な土地利用改変に関する分析を行った. その結果, 将来の作物需給が逼迫する要因として, 食用および飼料用需要の方がバイオエタノール用需要よりもその影響が大きいことが示された. また, 2015-2020年頃まで現状の可耕地 (休閑地含む) で供給可能だが, それ以後は耕地が不足し, 2050年には2005年の耕地面積から約11-15%の耕地拡大が必要になると予測された.