環境システム研究論文集
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河川の光環境と濁度が付着藻類の増殖速度に与える影響に関する研究
三崎 貴弘土屋 十圀
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2008 年 36 巻 p. 437-444

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抄録

河川の一次生産者である付着藻類は, 光合成により有機物を生産する生態系の基礎である. 従来, 付着藻類の増殖に関して, 水温や栄養塩類が対象とされ, 河川内の光の透過についてはあまり検討されて来なかった. 著者らは, 河川内の光環境と濁度が付着藻類の増殖に及ぼす影響について着目している. 本研究では, アユの漁獲数が減少傾向にある群馬県内の利根川本川において, アユの定着した夏季に付着藻類の増殖について調査を行った. また, 利根川の4地点において, 光量子量と濁度の鉛直調査を行い, 光の水中透過率を算出した. さらに, 観測期間中に台風による洪水撹乱前後の増殖速度の違いが観測された. この結果, 付着藻類の増殖には, 河床に到達する光量が重要であり, 濁度による増殖の阻害が生じ, 攪乱後に増殖速度は増加することが確認された.

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