環境工学研究論文集
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活性汚泥から分離した細菌による亜ヒ酸の生物学的酸化に関する基礎的研究
ANDRIANISA Harinaivo Anderson伊藤 歩三浦 洵一相澤 治郎海田 輝之
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2008 年 45 巻 p. 219-224

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抄録

ヒ素で汚染されていない都市下水を受容する下水処理場から採取した活性汚泥を, 高濃度の亜ヒ酸を含む無機培地で継代培養した後, 平板培地上に生じたコロニーから2種類の細菌を分離し, それらの亜ヒ酸酸化能力の確認と16SrDNA塩基配列に基づく系統解析を行った. その結果, 分離株の一方は亜ヒ酸の酸化能力を有し, Ensifer adhaerensと99.9%の相同率を示した. もう一方の分離株については亜ヒ酸の酸化能力が確認されず, Microbacterium keratanolyticumと99.5%の相同性を示した. 分離された亜ヒ酸酸化細菌による亜ヒ酸酸化に関して, Michaelis-Menten式に基づく反応速度解析と有機物共存の影響について検討した. その結果, 最大反応速度とMichaelis定数はそれぞれ1.74×10-9μg/cell/minと415μg/1あでり, 有機炭素源としての乳酸ナトリウムの添加量が高いほど亜ヒ酸の酸化速度が増大することが分かった. 以上の結果から, 活性汚泥から分離した亜ヒ酸酸化細菌のヒ素汚染水処理への適用可能性が示された.

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