環境工学研究論文集
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淀川水系における医薬品類の挙動に関する検討
花本 征也杉下 寛樹山下 尚之田中 宏明宝輪 勲小西 千絵
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2008 年 45 巻 p. 29-37

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抄録

本研究では、水環境中での医薬品類の挙動を把握することを目的とし、河川を流下中の医薬品類の濃度の減少が一次反応に従うと仮定して一次反応定数により濃度の減少の評価を行った。まず、淀川水系を対象とした調査により、上流と下流の負荷量の差を把握し、流下時間を用いて、河川を流下中の医薬品類の減少速度を減少係数で評価した。次に、実験室での分解実験により、医薬品類の減少速度を減少係数で評価した。両者を比較した結果、ketoprofen, azithromycin, diclofenac, levofloxacinなどの物質については、河川中での減少速度が実験室で行った分解実験による減少速度よりも大きな値を示しており、生分解やSSへの吸着以外の機構 (光分解や底泥への吸着など) による濃度の減少が示唆された。また、分解実験により、河川によって生分解性が大きく異なっていることが示唆された。

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