自然保護助成基金助成成果報告書
Online ISSN : 2189-7727
Print ISSN : 2432-0943
第28期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 特定テーマ助成
地域・行政・研究者の双方向通信システムを活用したシカ害対策技術の高度化 ―奥三河地域シカ害対策協議会―
石田 朗釜田 淳志江口 則和加藤 顕高橋 啓
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2020 年 29 巻 p. 61-71

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抄録

愛知県奥三河地域でもニホンジカ(以下,シカ)の増加に伴い,農林業被害だけでなく希少種の減少など植生への影響が懸念されている.筆者らは先行研究でシカがどこで捕獲しやすいかという「シカ出現予測モデル」を開発した.現在運用中の予測モデルは主にGPS首輪データから構築したが,適用範囲がGPS首輪データのある地域に限られる点,予想単位が250mメッシュと広範囲な点が問題であった.そこで,今回新たに地域住民や行政職員等から寄せられたシカ目撃情報と無人航空機による航空写真情報を組み込むことを検討した.その結果,シカ目撃情報を加えることでモデルの改善効果が認められた.また,250mメッシュ内のどこでシカが滞在する確率が高いか明らかにするため,GPS首輪データでシカの滞在頻度の異なる地点で,地上レーザースキャナを用いた立地環境調査をした.その結果,立木密度が低く下層植生の豊富な場所でシカ滞在確率の高いことが示された.

本成果は公開中のシカ出現予測アプリ「やるシカない!」に組み込むことで,行政・研究者・地域住民等から引き続き情報収集を行いながら更新を続け,被害対策につなげていきたい.

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© 2020 本論文著者
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