海洋開発論文集
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大型海藻アラメ・カジメ類の生育制限要因に関する現地調査
寺脇 利信
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1990 年 6 巻 p. 37-42

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抄録

アラメ・カジメ類の生育制限要因に関し, 現地調査からの定量的検討結果は以下のようにまとめられる.
(1) 神奈川県横須賀市秋谷地先の水深10mの岩場の洞穴内部では, 照度が減少するほどカジメの全長および生育密度も減少する傾向が認められ, 照度が洞穴外部の約1%以下ではカジメが認められなかった。
(2) 神奈川県小田原市米神地先の水深10mの砂地海底で埋没しつつある投石上では, 付着器の比高が0cm以下になるとカジメの枯死が認められ, -1cm以下ではカジメが全て枯死していた.
(3) 福島県いわき市竜ケ崎地先 (磯焼け海域) の水深4~5mの岩場では, 水深が増大するほど底生植食動物のキタムラサキウニの個体密度が増大する傾向が認められ, 水深4.4m以深になると, キタムラサキウニが8~12個体/m2となり, アラメが認められなかった.
(4) 神奈川県横須賀市観音埼地先の岩場の水深5m以深では, 固着動物のヒドロ虫が岩面およびカジメ葉面を覆っており, カジメは水深8m以深で被度が急減し, 水深10mではほとんど認められなかった.

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