日本古生物学會報告・紀事
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8. 神奈川縣鶴見の更新層にTemnotrema rubrumの産出
西出 省三
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1936 年 1936 巻 2 号 p. 8-14_1

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抄録

先年植田房雄學士が神奈川縣鶴見區鶴見町花月園北側 (同氏の生麥化石帶) より1個の海膽を採集せられたが, 是れはPleurechinus ruber DÖDERLEINに同定すべきものと思はれる。本種の模式標本は東京灣20尋 (カヂヤマ (加知山?) 附近) の處から現生種としで採集され, 專門家ですら僅かの人が此の標本を見た様で, 特に化石としては最初の報告である。尚ほPleurechinus. 屬には種々の困難な問題があるが, AL. AGASSIZ, 1872年以來のPleurechinusの種は大部分Temnotremaに編入すべきものであり, rubrumは同屬の模式種scuiptumに近縁を有した異種のものと思はれる。rubrumの分布は模式漂本並に教室所藏標本 (東北帝國大學地質學古生物學教室登記番號5831の千葉縣水産試驗所々屬房丸採集地點51千葉縣夷隅郡鵜原灣) より知られる所では殆んど中央日本太平洋岸に限られる様であり, 垂直分布も約5米-39米である。
Temnotrema屬は尚ほ三群に細分出來るが, 今假に1屬と見做すことにし, 今後の研究に俟つ。

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