日本古生物学會報告・紀事
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13. 臺灣太魯閣峡上流に於ける始新世化石の新産地
藤本 治義長島 乙吉
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1936 年 1936 巻 3 号 p. 43-45_1

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抄録

昭和十年八月長島は臺灣の東岸より太魯閣峡に沿つて西方へ合歡山峠を越へて脊稜山脈を横断した。其際畢祿巡査駐在所の西方約1kmの地點にて埔里層に夾在される石灰岩に海百合の莖と思はれる化石を發見した。其後長島が此附近で採集せる材料につき藤本の粗査せる處其の中にCamerina sp., Glomospira sp? 等の化石を發見した。此のCamerina石灰岩は粘板岩及砂岩の互層中に夾在され, 此等の地層は矢部教授と半澤理學士の埔里層と稱せるものに相當し, 又古く下部粘板岩系とされてゐたものに當る。矢部教授と半澤理學士は南部の高雄州で此の埔里層中からCamerina sp. 其他の始新世の標準化石を發見され埔里層の地質時代を中新世より古く, 化石を含有する部分は始新世とされた。筆者等のCamerina sp. の發見は此の埔里層の始新世説を證據立てる一新事實を加へたことになる。

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