1938 年 1938 巻 13 号 p. 109-120_1
東北帝國大學理學部地質學古生物學教室所藏の臺灣苗栗層産塔形貝科に屬する29種の記載である。その内21種が新種, 5種が筆者が嘗て苗栗層から記載せる種, 1種が横山博士によつて内地より記述せられたもの, 1種がアダムスの最初創定にかゝるもので, 他の1種は, 甚だ面白い屬であるらしいが標本不完全の爲め種名を與へることを差しひかへておく。斯くして苗栗層の塔形貝科の種數は一躍既知種の凡そ5倍弱に達したわけであるが, 採集次第では, まだまだあることと思ふ。遺憾なのは臺灣現生の本科屬種名がほとんど知られてゐないので, 興味は半減すると同時に地質學的の意義も不分明である。