日本古生物学會報告・紀事
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148. 鹿兒島縣川邊郡西加世田村野間池附近山神の鳥巣石灰岩
江口 元起
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1942 年 1942 巻 23 号 p. 147-151

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抄録

鳥巣石灰岩の日本群島最南端の分布地として知らるるは九州本島南端野間池附近で明治43年20萬分の1加世田圖幅及び同説明書中に記されて居る。九州中部及び四國の島巣石灰岩に就ては近年精密な地質學的研究が行はれた。然るに本區別は最近7萬5千分の1加世田圖幅 (昭和9年) に記された以外は詳細な記遠を見ない。岩相の類似及びIsastrea並に床板珊瑚に富む石灰岩である事以外其の時代を決定すべき資料は明にされて居ない。
鳥巣石灰岩を夾在せる地層は野間崎附近では石英斑岩及花崗斑岩に貫入されて著しく擾亂された砂岩及び頁岩又は粘板岩の互層で, 附近の基盤を形成せる岩層と考へられる。本層群の上は輝石安山岩及集塊岩に覆はれる。野間池附近では凡ど西西北-南東東に走り直立せる幅約20m, 延長80mの扁豆状石灰岩で, 露頭部には黄灰色結晶質石灰岩の部分のみが残され暗灰色石灰岩の部分は曾て石灰焼の原料として採掘されたもので, 凹處として残り, 附近に化石に富む暗次色石灰岩塊が多敷散乱する。
筆者は最近此の地方を旅行する機會を得, Stromatoporoids, Algae, Tabulata corals及びHexaeoralsを採集し, 薄片により下記諸種を桧出し得た。在來確實な化石による時代決定を缺いた本石灰岩は其の岩相の示す如く明かに鳥集石灰岩で, 上部侏羅紀特有の化石を含む事を證し得た。

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