抄録
電解酸化水はHCl溶液と異なり,人体および環境に悪影響を与えない.電解酸化水をリードフレームの表面処理に応用できれば,環境負荷の軽減が期待できる.まず,浸漬実験により,リードフレーム用銅合金に対する電解酸化水のエッチング作用を明らかにした.その結果,電解酸化水のエッチング速度はHCl溶液の2倍以上である.つぎに,試料片の表面分析により,リードフレーム用銅合金の表面層に与える電解酸化水の影響を解明した.すなわち,電解酸化水を使用する場合,Cu-Ni合金の表面における酸化皮膜が変化しないが,Cu-Fe合金の酸化皮膜が厚くなる.本研究により,電解酸化水はCu-Ni合金の酸化皮膜除去工程に応用でき,Cu-Fe合金の表面洗浄に応用できることが分かった.