霊長類研究
Online ISSN : 1880-2117
Print ISSN : 0912-4047
ISSN-L : 0912-4047
短報
Presence of Feces in the Abandoned Nokado Mine, Tochigi Prefecture of Central Japan, Provides Further Evidence of Cave Use by Japanese Macaques
Kenji KashiwagiYamato TsujiTetsuo YamamuraMasanaru TakaiMasaaki Shimizu
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 34 巻 1 号 p. 79-85

詳細
抄録

2015年10月に栃木県日光市野門鉱山の廃鉱で,ニホンザル(Macaca fuscata)の糞を大量に発見した。ニホンザルの糞が見つかった場所は坑道の入り口から8 m以内の2か所で,いずれも1-2m2の狭い範囲に100個以上の糞断片で密集していた。糞が数珠状につながった複数の断片から構成されること,内容物がほぼ樹皮で構成されることから,ニホンザルの群れが冬季(12月~3月)に坑道を利用したことが示唆された。2014年から2015年にかけての冬季は例年より雪の量が多かったため,ニホンザルは激しい雪や風を避けるために坑道を利用したと考えられる。野門鉱山の利用は,ニホンザルによる冬季の洞窟利用としては2例目の報告だが,人間活動により作られた人工的な洞窟の利用である点が興味深い。これは,最初の事例が石灰岩中に開口している天然の洞窟を利用していた点とは対照的で,防寒に際してのニホンザルの柔軟な生態適応の一つと言える。今後,同様な事例を各地で収集することにより,行動面でのサルの寒冷地適応についての理解が深まると期待される。

著者関連情報
© 2018 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top