1982 年 1 巻 1 号 p. 22-31
本研究の目的は,中脳中心灰白質刺激を無条件刺激として回避条件づけが成立しうるか否かを検討することである.ラットを用いて次の回避条件づけ課題について調べた.すなわちT型迷路での弁別回避学習,step-downおよびstep-through受動的回避学習,compartment avoidance学習,およびshuttle boxでの一方向能動的回避学習である.その結果,受動的回避では13匹中11匹で,compartment avoidanceでは5匹中4匹で,また一方向回避では17匹すべてで学習が成立したが,弁別回避では6匹のラットのいずれも回避反応は認められなかった.これらのラットの脳内自己刺激率は低かったので,弁別回避が認められなかった根拠をRobertsの二童効果説に求めることはできなかった.さらに中心灰白質刺激と四肢への電気ショックによる動因の差異について考察した.