2016 年 23 巻 1 号 p. 34-39
【はじめに】LRC(運動呼吸同調)は中等度の運動強度で実施する場合が最も導入意義が高いと考えられるが,それよりも高い運動強度での条件でもLRCが有効であるか検討した。【方法】健常若年者14名を対象に,自由呼吸条件,エルゴメーターのペダル1回転につき1呼吸周期で誘発したLRC誘発条件の2条件をランダムに,80%Wmaxの定常負荷運動をオールアウトまで実施し,運動中の換気量と運動継続時間を比較した。【結果】運動継続時間が延長したのは8例で,運動継続時間も延長したものの有意ではなかった。換気量の変化からLRCにより相対的な過換気を呈していた。LRC誘発により呼吸困難感が低下したが,下肢については有意な変化は認めなかった。【考察】今回のLRC誘発条件では,呼吸数増加による過換気によりLRC誘発による効果が得られなかった可能性がある。それにもかかわらず呼吸困難感が減少したことから,この機序について更に検討が必要であると考えられた。