2017 年 24 巻 1 号 p. 84-87
【はじめに】重症くも膜下出血症例の変化する問題点に対して,客観的な分析から理学療法介入を変更していくことで独歩で家庭復帰した症例を報告する。【症例紹介】40歳代女性。脳底動脈瘤破裂による急性くも膜下出血を発症し救急搬送となった。開頭術後に脳幹梗塞を合併した。【経過】初期は体位変換時にめまいや嘔気が強いこと,廃用性に全身の筋力が低下していたことにより,離床困難であった。症状改善に伴い日常生活活動は拡大したが,運動失調によるふらつきが顕在化した。【結論】めまいと嘔気に対しては画像所見と身体機能評価を照らし合わせて目標を設定し,運動失調によるふらつきに対しては重心動揺計を用いて評価し,前庭性運動失調に対する理学療法へと変更したことで,運動失調によるふらつきが減少し,独歩で家庭復帰が可能となった。