関東甲信越ブロック理学療法士学会
第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 224
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口述発表35(神経系)
パーキンソン病患者の腰曲がりに対する理学療法効果
BOTOXと装具療法を併用した理学療法
*坂元 千佳子岩田 恭幸小林 庸子(MD)坂本 崇(MD)
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抄録

【はじめに】パーキンソン病における腰曲がりの定義は,歩行時又は長時間起立時に悪化することがあり臥位では完全に消失する胸腰椎の極度の前屈(Eldad Melamed,2006)とされている.現在までに検証されている介入は,BOTOX®注射,コルセット装着等があり,それぞれ単独の介入に対して検証が行われているが,いずれも報告は少ない.今回著しい首下がり・腰曲がりを呈したパーキンソン病患者に,複数の介入を組み合わせて行い著しい改善がみられたので報告する.
【症例】経過14年の73歳男性のパ-キンソン病患者.Hohen-Yahr重症度分類Stage_IV_度.2008年10月,座位・立位時に著明な頚部前屈,体幹前屈を示すいわゆる首下がり・腰曲がり姿勢が出現した.2ヶ月後,脊柱に異常はX線で認められず,薬物調整がされたが,改善がみられず以下の介入を開始した.
【理学療法開始時評価】立位姿勢では,頚部屈曲60.0°腰部屈曲59.1°.ROM は頚部及び体幹伸展・回旋,股関節伸展,足関節背屈に著明な制限あり.MMTは股関節屈筋群・殿筋群・下腿三頭筋群は2,他は3~4であった.体幹伸筋は2.触診により両側(右優位)斜角筋群,大胸筋,腹直筋,大腰筋,ハムストリングス,下腿三頭筋に異常な筋緊張を認めた.
【経過】全経過に渡り,体幹,下肢のストレッチ・伸筋群筋力強化を行った.主治医と共に異常な筋緊張を呈する筋群への注射の効果を確認し,斜角筋群,大胸筋,大腰筋へのBOTOX®注射を実施した.2009年2月頚椎装具,体幹硬性コルセットを作成し,可能な限り長時間装着するよう指導した.立位時の前傾姿勢に変化が見られず,更に2009年6月5cmの補高靴を作成し,日中は常に使用した.
【理学療法最終評価】2010年1月,立位姿勢で頚部屈曲24.1°腰部屈曲11.9°.ROMはpassive,activeともに頚部伸展,体幹伸展・回旋,股関節伸展に改善がみられた.MMTは体幹伸筋群,臀筋群が3であった.
【考察】BOTOX®注射により異常筋緊張を示した屈筋群の筋収縮が抑制され,痛みのため長時間装着できなかった装具の装着時間が延長できたことで,伸筋群の収縮を促し,アライメント矯正の効果が得られたと考える.また,長時間の装具の装着により頚部・体幹のアライメントが改善した後も立位時の前傾姿勢が改善できない理由を足関節背屈制限と下腿三頭筋の筋緊張異常による重心の後方移動の代償のための前傾と考え,補高靴を導入した.その結果支持基底面である足部上に身体重心を戻しやすくすることにより前傾姿勢を改善することができたと考える.
【まとめ】姿勢異常を起こす原因となっている異常な筋緊張を呈した筋群に対する注射による筋の収縮抑制と体幹硬性コルセット,補高靴を併用することにより,首下がり・腰曲がり姿勢に改善がみられた.

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© 2010 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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