関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 41
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口述発表5(生活環境支援系)
カンファレンスにおける自宅復帰に向けての取り組み
*土橋 豊
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抄録

【目的】  日常生活活動指標のBarthel Index(以下BI)において、総得点が60点以下は介助レベルとされ、また移乗・トイレ動作・歩行は項目別難易度で高難易度を示し、自宅生活に影響を及ぼすとしている(1989 Granger et al)。今回、入院時に歩行不可及び介助が必要であり、自宅復帰が困難と予測された患者を対象とし、定期・定期外カンファレンスが自宅復帰に及ぼした影響を考察した。 【方法】  2009年8月から2010年2月まで当院回復期リハビリテーション病棟(128床)に入退院した130例のうち、自宅復帰した97例(男性51例、女性46例、平均年齢74.6±8.6歳)を対象とした。このうち、退院時移乗・トイレ・歩行の3項目に減点がある36例を対象とし、定期カンファレンスに家族が参加した回数と退院時BI総得点を抽出した。更に、退院時BI 60点以下での自宅復帰例の抽出と、定期カンファレンスに家族が参加した回数を抽出した。尚、患者・家族には研究の主旨を説明し同意を得た。 【結果】  定期カンファレンスへの家族の参加率は脳血管疾患5.1±1.0(84.6%)、運動器疾患2.4±0.7(80.0%)であった。退院時BI総得点は平均66.0±24.4点であった。退院時BI総得点が60点以下での自宅復帰は脳血管疾患11例、運動器疾患2例であった。このうち家族の定期カンファレンス参加率は脳血管疾患5.2±0.9(86.4%)、運動器疾患は2.5±0.7(83.3%)であり、自宅復帰率は74.6%であった。 【考察】  今回、家族の定期カンファレンスへの参加は約8割と高い値が示された。また、自宅復帰率が74.6%という結果を得た。この結果は、家族参加型の当院のカンファレンスが、介護者の不安を解消出来、家族の意向が自宅復帰へと意識付けられるのではないかと考える。よって、定期・定期外カンファレンスに僅か1回でも多く参加することは、早期に方向性を決定付ける因子として大きな意味があると考える。更に、定期カンファレンスに家族が参加できずとも、結果的にBI総得点が60点以下でも自宅復帰へ結びついたことは、定期外カンファレンスに積極的に参加していたことの結果ではないかと考える。定期外カンファレンスにおいて重要なのは、時と場所を問わず即時に行え、定期カンファレンスよりも家族が参加できる機会を多く得られる点である。今後は、定期外カンファレンスの参加率を調査し、更なる自宅復帰率向上へと繋げていきたいと考える。 【まとめ】  スタッフ間との情報共有はもちろんのこと、最新且つ詳細な情報を家族とも共有することによって、自宅復帰困難と予測された例が自宅復帰に至ったことにカンファレンスの重要性があったのではないかと推察できる。

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© 2010 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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