関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 30
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口述発表4(内部障害系)
問題解決療法を用いた生活習慣改善のための介入研究
メタボリックシンドローム予備群を対象とした
*万行 里佳竹中 晃二
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抄録

【目的】
 メタボリックシンドローム (以下,メタボ) 予備群を対象として,認知行動療法の1つである問題解決療法を用いた生活習慣改善を目的とした介入を実施し,生活習慣の改善や発症予防の効果について検討した。
【方法】
 対象はA大学に勤務する教職員。参加条件は,腹囲,血中脂質がメタボ診断基準に1項目以上該当する者,または,Body Mass Index (以下,BMI) 25以上の者,さらに薬物療法を行っていない者とした。参加者20名を無作為にA群 (男性9 名,女性2名,平均年齢51.2歳),B群 (男性8名,女性1名,平均年齢59.2歳) に分け,前半はA群のみ,後半はB群のみに同じ内容の介入を12週間ずつ実施した。介入内容は,問題解決療法の手法を用いて,食事や運動などで問題のある生活習慣に関する目標行動を設定させた。自己記録表に毎日の目標行動の達成度,体重,歩数,腹囲,コメントを記入し1回/週提出させ,研究者は裏に助言や賞賛を記入して返却した。その他,4週間ごとに各自の疑問や質問に対する個別の解答,また,通信紙 (A3両面) の発行を行った。測定は,0,12,24週目に生活習慣調査 (食事・運動・飲酒・間食) と血液検査 (血中脂質,グリコヘモグロビン) を両群に実施し,0,12,24週の変化を各群ごとに比較した。
【結果】
 生活習慣は両群とも食事,運動,飲酒,間食すべて0,12,24週目での有意差はなかった。血液検査では,総コレステロールがA群では0週210mg/dlに比べ12週197mg/dl (p<.05),24週191mg/dl (p<.01) と低下した。HDLコレステロールは,A群では12週63mg/dlが0週59mg/dl (p<.05),24週56mg/dl (p<.05) に比べて高値となった。BMIはA群では0週26.4kg/m2に比べ12週25.6kg/m2 (p<.01),24週25.4kg/m2 (p<.01) と低下した。B群は24週23.8kg/m2が0週24.5kg/m2 (p<.05),12週24.3kg/m2 (p<.05)に比べ低下した。
【考察】
 問題解決療法では,1.問題の提起と明確化,2.解決策の産出と意思決定,3. 実施と検証により問題に対処する。 本研究は,生活習慣調査の結果より問題点を指摘し,明確化させ,通信紙などによる方法の提示や助言などを行い,生活習慣の問題に対する解決策の産出や目標行動の意思決定を行った。 実行可能な目標行動の設定や自己記録表による効果の確認,通信紙による知識の向上などが生活習慣の問題行動の改善につながり,また,生活習慣の変化が血中脂質や肥満の改善効果となったと考えられた。

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© 2010 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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