関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 23
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高校野球選手におけるオフシーズンの腰痛発生調査
小林 雄也仲島 佑紀石垣 直輝鈴木 智早坂 仰高橋 真岡田 亨
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抄録

【目的】
オフシーズンに腰痛を愁訴とする高校野球選手が増加する傾向を経験する。今回は、高校野球選手におけるオフシーズンの腰痛の特徴を明らかにするためにフィジカルチェックとアンケート調査を行った。
【方法】
当院の倫理委員会の承認のもと、2010年度に千葉県内の某高校野球部に在籍し、本研究の目的に同意を得た52名を対象とした。チームサポートを行っている理学療法士・トレーナーへオフシーズンに腰痛を訴えた11名を腰痛群、その他の41名を対照群とし、両群にフィジカルチェックを実施した。検討項目は、身体組成、筋力(WBI、背筋力、上体起こし)、柔軟性(下肢伸展挙上角度、踵臀部間距離、トーマステスト、指床間距離、股関節内旋・外旋可動域)とした。また、腰痛群には独自に考案したアンケート調査を行った。内容は自由記入式と選択式を組み合わせ、痛みやトレーニングに関する項目とした。フィジカルチェックのデータは腰痛群と対照群の群間比較を行った。統計学的処理はMann-WhitneyのU-検定、x2検定を用いた。
【結果】
フィジカルチェックの両群の比較では有意な差を認めなかった。アンケートは全例回収し、痛みを感じたきっかけはランニング4名(36%)、バッティング4名(36%)、守備・スローイング2名(18%)、ウエイトトレーニング1名(9%)であった。腰痛を我慢してトレーニングを継続していた選手は、9名(81%)であった。また、トレーナー記録より腰痛を以前から有しオフシーズンに悪化していた選手は7名(64%)であった。
【考察】
今回の結果でフィジカルチェックのデータと腰痛の関連性は見られなかった。アンケート調査から、痛みを感じたきっかけはランニングやバッティングが多かったが、ウエイトトレーニングでの腰痛発生は少なかった。ランニングやバッティングと腰痛との因果関係については今後の追跡調査が必要である。また、腰痛群にはシーズン中からの腰痛が悪化したケースが多かった。その原因として、オフシーズンのトレーニングは走り込み、打ち込み、投げ込み、特守やウエイトトレーニングなどの同一動作の練習量が増えたことが考えられる。さらに、痛みを我慢して行っていた選手が多かったことから、今後フィジカルチェック時に腰痛を有する全選手を事前に抽出し、練習量の調整や自己管理指導が必要であると考える。
【まとめ】
高校野球選手のオフシーズンの腰痛に関する調査を行った。フィジカルチェックと腰痛の関連性は見られなかったが、アンケート調査により腰痛誘因動作としてランニングとバッティングであることが示唆された。

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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